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GLに基づく治療法模範解答

気管支喘息(成人)

設問1

[症例]

eczema_woman

45歳女性、2か月前から咳嗽が出現、昨年も同じ症状があったので来院しました。熱や痰はないとのことです。咳嗽は夜間や明け方に多く、先月には眠れない日が1日あったとのことです。問診上、後鼻漏なし、鼻閉なし、胸やけなし。喫煙歴なしです。%FEV1:85%、FEV1/FVC:76%。気管支拡張剤吸入15分後でFEV1は210ml増加(+12.2%)。末梢血好酸球7.2%の結果が得られました。

この患者に対する長期管理薬として、先生が処方を検討されるものを下記からお選びください。
(複数回答可)

[模範解答例]

選択肢のうちを実施(■は非実施)
  • ■ 症状出現時に短時間作用型β2刺激剤の屯用
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬
  • 吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬の合剤
  • 吸入ステロイド
  • ■ β2刺激薬の徐放貼付剤
  • テオフィリン徐放剤の内服
  • ■ 経口ステロイド薬の内服
  • ■ 第2世代抗アレルギー薬の内服
  • ■ 抗IgE抗体注射
  • ■ ステロイドの筋肉注射
  • ■ 去痰薬
  • ■ 漢方薬
  • ■ 鍼灸
  • ■ ビタミン剤
  • ■ その他
     [              ]

[解説]

  •  喘息予防・管理ガイドライン2012  p.7 表1-4 未治療の臨床所見による喘息重症度分類(成人)を参照してください。この症例は、毎日症状があると記載されておりませんが、夜間睡眠が月に1回以上日常生活や睡眠が妨げられているため軽症持続型であると考えられます。次に、p.129~ 7-1-2 段階的薬剤投与プランを参照してください。表7-9、表7-10の治療ステップを確認しますと治療ステップ2での長期間管理薬が必要であると考えます。p.231の説明をみますと、治療ステップ2は長期管理薬2剤となっています。今まで無治療であれば吸入ステロイド薬のみから治療を開始し、吸入ステロイド薬のみで不十分の場合には長時間作用型β2刺激薬や抗ロイコトリエン拮抗薬を追加の検討をするということもよいでしょうし、吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬の合剤の処方、吸入ステロイドにロイコトリエン受容体拮抗薬あるいはテオフィリン徐放製剤を処方することも検討してよいかと考えます。

設問2

[症例]

eczema_man

 50歳男性。10年来の気管支喘息として、STEP2レベルの吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬の常時吸入で治療中です。現在は吸入薬を使って調子がいいので、薬をやめてみたい、とのことです。詳しく聞くと、発作時のために事前にお渡ししている短時間作用型β2刺激薬は週一回程度利用しているとのことです。明らかな発作があったのは3年前の秋までですが、風邪をひくと時々咳っぽくなる、9月ごろには毎年夜咳っぽくなる、とのことです。スパイロメトリーは正常範囲内です。

今後の長期管理として先生がご検討されるものを下記からお選びください。
(複数回答可)

[模範解答例]

選択肢のうちを実施(■は非実施)
  • 【生活指導・治療方針】
  • ■ 患者希望の通り長期管理薬を中断する
  • ■ 現状維持とする
  • 吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬を増量する
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬を追加する
  • ■ 調子がいいので吸入ステロイド単独に減量する
  • ■ 調子がいいので現在使用している合剤を半分に減らす
  • 吸入をきちんとしているかどうかチェックしなおす
  • 吸入指導を再度行う
  • ■ その他
     [              ]

[解説]

  • 喘息予防・管理ガイドライン2012 p.129~ 7-1-2 段階的薬剤投与プランを参照してください。表7-8 コントロール状態の評価をみますと、この症例は短時間作用型β2刺激薬は週一回程度利用があるためコントロール不良と判断できます。したがって、治療のステップダウンは適切ではありません。この症例が適切な吸入を常時継続している場合、p.133 表7-11 現在の治療を考慮した喘息重症度分類(成人)をみますと治療ステップ2でコントロール中であることから、現在の治療における症状は軽症持続型相当と考えられます。したがって、この症例は現在の治療を考慮した喘息重症度が中等症持続型であると判断できます。よって、長期管理薬を治療ステップ3にステップアップする必要がありますので、吸入ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬の増量、抗ロイコトリエン受容体拮抗薬の追加を検討します。しかし、この症例のアドヒアランスが低く吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬を常時吸入していないという可能性もありますので、ガイドライン 6 患者教育、医師と患者のパートナーシップに示されている通り患者教育を検討することも必要です。吸入をきちんとしているかどうかチェックし、吸入手技が問題ないかどうかも確認し指導する必要があります。

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